今日たまたま偶然、ちまたの評価が高いとんかつを食べた。いつも行列ができていて普通に食べるには2時間くらい並ぶか整理券もらって待たねばならないレベルの評判店だ。たまたま「今ならすぐ入れます!」というタイミングがあって、ついスルリと入店してしまった。もちろん食べるのは初めて。基本的にどんなに美味しかろうとそんなに並んで食べたくないので。
この白さが特徴、らしい。
絶妙な揚がり具合。確かに柔らかいし旨みもしっかりで文句なくとんかつとしてハイレヴェル。美味しいです。
…でも、一生の記憶に残るような味というのが幾つかあって、それは流石に超えてこない。
自分の中で食べ物で「おおおっ!!」と感動したことを覚えている食べ物は数えるほどしかない。高い寿司、高い肉、そういうのは幾つか覚えている。センセーショナルな体験。しかしそれも人生で一回、ある程度高みのものを食べると、仮にそれを超えてきた食べ物でも、一度感動したあれは帰ってこない。初めて射精したときの快感が二度と得られないような感じだ。
で、感動していまでも覚えている食べ物はふたつある。
ひとつは、築地場外のどこかの寿司屋(忘れた)で食べたイカの寿司。「ええええっイカってこんななの????」というほど感動した。自分の知っているイカとまるで違ったのだ。当時は学生でお金もなかったので大した店ではなかったはずだが、このイカはずっと覚えていて、今でも高い店で食べるイカは「うーんあのイカ超えない……」となってしまう。店名も忘れたので、自分の中では永遠にナンバーワンのイカの寿司になってしまった。そして別にイカの寿司自体が好きなわけではない。普通にトロとか白身が好きです。
もうひとつは「ふんわり名人 きなこ餅」だ。
これも出た当時は画期的な味だった覚えがある。この歳になるまでで結構高いスイーツも食べたけど、これを初めて食べたときの感動は超えてこない。だからといってこれも今でもちょくちょく食べる、ということはありません。
感動と継続的に買うかは別問題なんだな。
ここまでで書いたように、寿司も肉もお菓子もこの歳になれば結構ピンキリ色々食べているので、多分10倍する値段のそれらを食べてもあのときの感動はもう無いのだと思う。生まれ変わるか記憶を消してやり直さないとだめだろうね……。