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ただの日記です。

日記20200811/息子、人生初の映画体験/『のび太の新恐竜』ややネタバレ感想

ややネタバレ感想は途中で区切りを入れているので、そこまではいつもどおり日記になります。

 

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映画ドラえもん『のび太の新恐竜』を見てきた。

息子(小1)のリクエストである。あまり気乗りしなかったのだが、ヒマだしタイミングも良いかと判断した。

息子は臆病なので、まず暗いところが怖い。デカい音も怖い。加えてバトル系のフィクションも避ける。ドラえもんの場合でも割と悪者と対峙するTVスペシャルとかだとちょっと見なくなったりしていたし、ライダー、戦隊などは論外な男なので、仮に『新恐竜』がソッチ系だとしたら結構困る。新作なので中身もわからず何ともギャンブルじゃねえかと思ったのが気乗りしない理由だ。最悪のケースとして、途中で出たいとか言い出さないかというのが懸念だった。

 

 

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とはいえ、映画の中身うんぬんよりまずは「映画体験」はしておいたほうが良いだろうと思ったので連れてきた。映画体験、すなわち映画館に行き、始まる前にオシッコをして、NoMore映画泥棒や紙兎のくだらねーCMを見て、デカいスクリーンと音を体感する、そういうのがまずはあればいいかなという意味だ。

 

 

 

………で、結果としては2時間ばっちりほぼ集中して見ていた(時間を聞いてきたのも1回だけ)し、最後は泣いて感動していた様子だった。でも暗がりで、そのうえ新コロの影響で家族でも1席ずつ空けての着席だったのが怖かったようなのでずっと膝の上に乗せて見ていた。時折ビクッとしていたけどスクリーンからは目を離さずにずっと見ていた様子だった。

 

 


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終わった後に喫茶店で感想を聞いた。最後のシーンで感動したとか、このあと(映画で語られている内容の後日談)どうなるんだろうねとか、きちんと映画を映画として理解した感想を持っている! まずはそのことに私は感動した。なお映画の内容で泣くかなと覚悟していったがそれは大丈夫でした。

 

 


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カラー版の小冊子ももらえて満足。色々な意味で問題作的な原作の「恐竜ハンター」の回を載せるって一周回ってちゃんと理解している証拠ですね。

 

 


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いつも娘の存在感のない日記ですが差別しているつもりはありません。そう遠くない未来の娘の初映画はプリキュアかな……。

 

 

 


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夜、息子が泣き出した。理由を聞いてみると「映画のこと思い出しちゃって……」とエグエグ泣くのであった。なんとまあこの感受性! おれが6歳のときこういう理由で泣けただろうか……。でもなんとなく想像がつくのは、こういうのを親に半笑いされたりするので泣くのが恥ずかしいみたいになっていくパターンだったかもしれない。だから私は息子がフィクションを見て泣くことを彼に対して否定も肯定もしないし、ただ受け止める。どっちかといえば泣きたければ泣くほうがいいと思うし。自分が人間らしい感受性を押し殺す中2を生きてきて無意味に苦労したほうなので、きちんと良い悪い、かわいい、ありがとう、うれしい、悲しい、を言える人間になってくれればそれでいいかなという気持ちだ(自分が若い頃はそれが素直に言えなかったので)。

 

さて、そういうわけで『新恐竜』自分もとても楽しめたし、息子にとっても初の"映画体験"としてきっと心に残る作品になったことと思う。

まあ「俺様は年数百本映画見てるからこの『新恐竜』のダメさを語ってヤンヨ〜」な人のレビューを信頼する人はそうすればいいと思いますが、上記の通り、とある6歳の少年はいたく感動したそうです。どっちを信頼するかはおまかせします。

 

以下は興味ある人向けというか自分のためがメインだけど、自分の感想を書いておきたい。読んでもきっと映画は楽しめるけど、まあ1年後のテレビ放送まで初見はお預けしといていいかな…的な人とか、ややネタバレ気味を見てこそ見に行くか〜という気持ちになる人向けな感じで書きます。もし、ネタバレを避けたい人はここで終わりにしてください。おまけ画像としてドラえもんの内部構造を貼っておきますので……。


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(ミチビキエンゼルの回でドラえもんの腹を開けた様子)

 

 

 

 

 

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↓↓『のび太の新恐竜』ネタバレ含むのでご注意ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直、『新恐竜』は最初あまり見に行くモチベーションはなかった。息子が見たいというので連れて行ったという感じだが、結果的にはとても見に行って良かった。無理やり付き合わされたなという感はまったくなく普通に楽しんで2時間ちゃんと見られた。

 

そもそものテーマとしている「恐竜」自体には大して興味が無いのだが、最新の恐竜の研究結果をベースとした話になっているので、自分が子供の頃の有力説だった「氷河期が来て絶滅」ではないし、恐竜の色も違う。フサフサしてる恐竜もいるし、そもそもプテラノドンは恐竜じゃないし、もっとマイナー(というか自分が子供の頃は発見されていなかった?)な恐竜も出る。そういう意味でへ〜〜という普通の学びを得ているとともに、ジュラ紀・白亜紀の違いすらわからない自分にとっては楽しめても、恐竜好きの人にとってはガバガバ設定が気になってくる可能性も感じた。まあそこはフィクション許容の度量の差なのでなんとも言えませんが……。

 

話の流れは映画ドラにありがちな起承転の流れではあるが、結は良い意味で裏切られた。私もすべてのドラ映画を見たわけではないが、TVの1時間スペシャル含めてよくありがちなのが、ギガゾンビを代表とするような時間犯罪(未来人が過去に行って歴史を変えたり世界を支配しようとする)パターンか、地球人外の異星人との戦いになるパターン、そしていずれも映画限定のゲストの友だちがそれに深く絡んでいて…という流れだ。今回はそのケースではなくて、意味ありげにキャラ紹介されているキムタクと渡辺直美も悪者ではない。

そもそも「新・のび太の恐竜」ではなくて「のび太の新恐竜」である理由も開始5分でちゃんと説明されているし、ドラえもん原作が得意とする、歴史介入への影響に対する伏線と、一応の「ありそうかな」ロジックも抑えられている。恐竜ってマジでぜーんぶ絶滅したとしたらちょっとそれはそれでおかしくない? 22世紀の未来だったらすべての恐竜の謎は解き明かされているのか? という素朴な疑問に対しての「ありそうかな」はドラえもんとして見ていて気持ちいいやつなのだ。

このへんのロジックの許容度は人によって違っていて、フィクション強度とその人のベースの知識と度量とによって解釈が変わるので、受け入れられない人はまったくダメかもしれない。自分はスッと入りました。

 

なお私自身の許容度の一例としては、「仮面ライダーの武器が急に何も無いところから出てくること」に対して「何も無いところからモノを物質化できる何らかの能力や仕組みを持っている」という理由があれば納得できるし、特に説明やそういう能力の言及もなく画面外から「おりゃっ」と急に武器を取り出すと「あれ、なんでお前今それ持ってるの?」とひっかかる、という程度なので、まあガバガバなほうだと思ってます。

 

ちょっと感想をググるとすぐサジェストされてしまうスペシャルゲストはサービス的なものであって、あまりこれについては個人的に思い入れが無いのでなんともはやだが、仮面ライダージオウの映画に佐藤健が出てきたようなものでしょう。うん。ちなみに、仮面ライダー電王を見ている人にしか通じない表現でのネタバレをすると、のび太が"特異点"なのも良かった。なおこれは藤子作品の『T・Pぼん』からの設定引用らしい(未読なのでそっちも早速読みます)。

 

たまたま検索でひっかかった感想に「多様性を肯定しているようでしてない」と咀嚼しているものを見かけた。自分の解釈ではまったくそうは思わなかった。むしろ多様性ということばに胡座をかいて自ら努力することや「そのままでイインダヨ」思想にどっぷり甘えて自己を否定されることにやたら反撃しがちな昨今のアマちゃん風潮に一石を投じているところが気持ちよかった。多様性や個性も大事にされるべきだが、だからといって己の中での努力や成長・変化の意思すら否定するのはやっぱり多様性の否定ではないか。そしてキムタクのラストの解説によって多様性あればこそ、なとある解釈が提示され「それじゃダメなんだよ」と散々作中でダメだしされていたそのとあることが、まったく覆って壮大に肯定される瞬間は本当に素晴らしいなと思いましたよ。