今日も相変わらず在宅勤務。新コロには多くの人類が色々困らされているけど、プラス面は間違いなくコレの急速な推進にあるよな。マジで助かっている。
というのも、今日の在宅勤務には大いに意味があって、ガラスにフィルムを貼る業者が作業に来る日なのだ。土日の立会い調整は大変なので平日ベースで調整してたらサクッと日付も決まってお互いハッピーである。
約束の時間に見積もりをとった業者が来て早速に作業を開始した。見積もりで自宅まで来てくれた人とは別の人で初対面、40代くらいのオジサンだった。
ガラスフィルムを貼る作業は、クルマのカッティングシートとかと同じで水を使いながら貼るのが常套手段のようだ。見ている限り自分が自力でやるのは不可能だなと感じたので頼んで正解だった。このガラスの写真は既にフィルムが貼られている。まったくわからない。これでもUVカット、飛散防止、遮熱の効果があって日差しが入る時間帯などに効果が期待される。我が家はリビングが西向きの窓なので特に夕方の西日自体は嫌いではないが、その熱線での家具の日焼けなどをある程度抑制できたらいいなと思っている。なお南向き、東向きも住んだことはあるけど、南がナンバーワンなのは不動としても東向きなら西向きのほうが好きですね。富士山見えるし。
業者のオジサンは淡々と仕事を進め、こちらも仕事をやってもらいながらも自分の仕事もリモートでする、というスタイル。これは在宅勤務が当たり前じゃなかったら有給とるとか必要ですからね。こういう面はいい時代になりましたね、なんて思いつつ仕事をしていると…………ん、と思った。
くせえ。
くせえのだ。異臭がする。部屋が臭い。何のニオイかというと、一番端的に言うとウンコである。ウンコのニオイがするのだ。部屋で。リビングで。マイホームで。賃貸じゃなくて35年ローン組んだ自分のマンションで、だ。まだ住み始めて1年もしないピカピカの部屋でウンコのニオイがするのだ。
3歳娘はまだオムツが取れていないのでウンコはオムツでする。だから交換時はウンコのニオイがすごい。それは仕方がない。でも今娘はいないし、娘のウンコのニオイとは違う。部屋には私と妻(妻も在宅勤務中)、そして作業中の業者のオジサン。
オジサン、もしかしてウンコ漏らしてない?
真面目にそう思った。ちょっと屁をここうとしたら実まで出ちゃったんじゃない? とマジで疑った。疑ったというかほぼ100%そうだと確信していた。
異臭というのは色々あって、人間の鼻は割と雑である。以前、買ったコーヒー豆をカバンに入れてたまたま開けたときに漂ってきたコーヒー豆のニオイをウンコのニオイと勘違いしたこともある。香水にもウンコのニオイが若干混ざっているという。世の中にウンコっぽいニオイは沢山あるのである。
なので、オジサンがウンコを漏らしているのではなく、例えば足とタバコ口臭とコーヒー口臭が混ざったニオイだとしたらやっぱりウンコっぽくなる気がする。そういうものではないか、流石にウンコは漏らしていないのでは、というか漏らしているのにあんなに平然と作業ができるか?ともう仕事どころではない。
妻の様子を伺うと、気付いているのかいないのかよくわからなかった。妻はカンが鈍いので目配せとかで気付かないことも多いし、富野由悠季キャラみたく会話のキャッチボールを2往復ずつ飛ばして会話するような粋な言い回しができるでもない、そういう人間だ。でも鼻のあたりをしきりに触っているような気がしたのでやっぱりウンコを漏らしたようなニオイに気付いているに違いないと思った。
自分の作業をしつつもたまに窓のほうに近づいて作業進捗と状況を確認するために軽く見回し、そのついでにそのあたりのニオイを嗅ぐと、やっぱりウンコを漏らしたようなニオイがきつい。やっぱりオジサン、漏らしてるでしょうよ。いいや絶対漏らしている。でもトイレ貸すのもちょっとなあ……などと考えていたが、シンプルにニオイがしんどくなってきたのでコーヒーを淹れてごまかすことにした。仕事中はトイレが近くなるので実はあまりコーヒーを飲まないのだがウンコには耐えられないのでやむを得ない。
ウンコを漏らしたオジサンの作業自体はスムーズかつ無駄がなく、2時間もかからずに終了した。出来栄えもしっかりしていてミスったような箇所は見当たらない。強いて言うなら仕事じゃないけどウンコを漏らしたことが重大なミスである。大人として。
ガラスを見てみてもまるでフィルムを貼ったようには思えないほどちゃんとキレイにできている。素晴らしい仕事である。ただひとつ、ウンコを漏らしていなければ。
オジサンは後片付けをして作業完了報告書にサインを求めてきたのでソーシャルディスタンスを意識して距離をとってサインし、支払い精算をクレカでした。で、ここで気付いた。ニオイの発生源はオジサンではない、と。そう、このサインと支払いで近づいたが、明らかにオジサンからウンコを漏らしたニオイがしているわけではないとここでわかったのだ。では妻がウンコを漏らしているのか?いや、まさか、私が……!?!?!?
………オジサンが帰った後にすぐ「ねえ、あのオジサン、ウンコ漏らしてるくらい臭くなかった?」と妻に問うと「全然わからなかった」と言う。やっぱり何も気付いていない。そういう人間だ。勿論、漏らしている素振りはない。おれの尻やパンツも異常はない。でも、まだ部屋が臭いのだ。オジサンが漏らしたウンコをこぼしたのだろうか。いや……
ここで気付いた。窓がくせえ、と。
そう、フィルムそのものの薬剤か何かのニオイがこのウンコを漏らしたようなニオイの正体だったのだ。このフィルムのニオイがまた「ウンコそのもののニオイ」ではなくあくまで絶妙に「ウンコを漏らしたようなニオイ」なのがすごい。フィルムが貼られた窓ガラスに鼻を近づけて嗅ぐと先程までめちゃめちゃ充満していたウンコを漏らしたようなニオイがする。オジサン、完全に私の中で濡れ衣を着せられていたのであった。もちろん当然本人にそんなことは一言も言ってないが、もしあのオジサンとどこかで再会したらきっとウンコを漏らした人だ!くらいに記憶が捏造されかねない、それくらいウンコを漏らしたニオイだったのだ。
窓のフィルムに鼻を近づけてクンクンすることでその臭さは妻も認識した。この絶妙なほどの「ウンコそのもののニオイ」ではなく「ウンコを漏らしたようなニオイ」、保存してアップロードして同意を得たい、もしくは自宅招待ツアーオフ会を開催して嗅いでほしいくらいの「漏らし」のニオイなのだ。あ〜〜〜〜皆様に嗅いでほしい!なんでニオイアップロード機能が無いんだ!くそうくそう。
っていうかしばらくこのニオイが窓から取れないのかもしれないが、同時にオジサンのウンコ漏らしてるんじゃないか疑惑も私の中で勝手になかなか印象として払拭されないものになってしまった。いい仕事してくれたのにごめんよオジサン。