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ただの日記です。

日記20210525/『挽肉と米』に次代の飲食店スタンダードを見た

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人気のハンバーグ店「挽肉と米」にようやく行くことができた。何度も振られて、というかシステム的に理解していなかったところがあったせいなのだけど、以下の流れを理解しておけばいつまでたっても食べられないということはないと思う。

・「当日朝に記帳制」の予約システム。早く行って希望順で時間が埋まっていく方式らしい。

・なので休日はかなり朝早く(8時〜9時くらい?詳しくは店のTwitterをチェックしてください)記帳枠が終わるらしい。

・平日は午前中に行けば夕飯用の記帳は割とできるみたい。

・自分の場合は月曜日で、11:00頃に行って13:30の枠で入店できた。その間は別の買い物とかしていたので特に待った感覚はなし。

 


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標準のメニューとしては、「ご飯おかわりし放題、90グラムのハンバーグを3個までおかわり可能」で1500円というのが基本。それに4個めのハンバーグだったり付け合せや飲み物を頼んだりするとプラス数百円という感じ。

 

90グラムのハンバーグってあれです、「さわやか」と大体同じくらい。

で、味はもちろん美味しい。肉汁もたっぷり。焼き加減は赤いところは無くてそこはさわやかとは違う。隣に座ったおっさんは「んん〜〜!」とテレビの食レポみたいな声だしてたけど、なんというか、美味しいハンバーグってあちこちにあるので私としてはそんな声でちゃうほどではないです。もちろん美味しいけど、今まで食べたことないレベルとか、そういうものではないです(美味しいけどハードルは上げない)。

ただこの店を否定したり批判しているのではなくて、トータルとしてはすごい店だなと思ったのでその感想を述べます。

 

その理由は「外食としての体験価値」を非常に大事にしていて重要視していることを感じる点で、「メシがうまけりゃ接客は塩対応でいい」と思いこんでいる店の真逆を行っているのがこの店の本質だと思う。敢えて言うと、ハンバーグ自体はまあそこらの他の店でも味わえるレベルですよ、ハッキリ行っちゃうけど。でも、トータルのストーリーというか、この店に来ました、お金を払いました、食べました、ごちそうさまでした、までの流れが気持ちよすぎて「また来てもいいな、人に紹介したいな」という感情を喚起させるのだ。端的に言うと、高級な寿司屋とかレストランで感じる「いい店」に対する感情と同じようなものをこの店にも感じたし、それを狙ってシステムやコンセプトをトータルでプロデュースした人はとても頭が良いと思うし、似た業態でマネするやつは沢山でてくると思う。

 

まず、接客がかなーり教育されている。この店、並びの人と予約(記帳したい人)がごっちゃで店の前にやってくるのだけど、担当の人はしっかりさばく。声をかけられず忘れ去られたり放置されている人がいない。自分などは、ここで無視されたりすると「もういいよ」って帰っちゃったり、場合によっては悪口を書いたりするけども、この店における「目配せ」は相当に教育されているはず。この話は後にも出てきます。


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予約した時間に入れてもらってスムーズに着席、そして目の前で次々に焼かれるハンバーグ。おかわり制で最初に3個食べますとか2個でいいですとか宣言するのだが、大抵の人は3個頼む。この1個目から2個目のタイミングはどう見てもこの焼きの人が微調整していた。明らかに「1個目の食べ具合を見ている」のだ。肉が途切れもしないし、早すぎもしない。この「客の様子を見て次のアクションをする」が一般の飲食店でいかに期待値以下の動きしかできないか、は皆が体験するところだろう。私などは「ファミレスの食後のコーヒー」をどうせこっち見てないんだろと信用していなくて最初に持ってきてもらっていた(今は呼び出しボタンが普及したのでそういうことも減ったけど)くらいだ。

 


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味変の薬味も多彩。ハンバーグ、例によって「最初はそのままで」って言ってくるのだけど、すぐ飽きがくるので様々試したくなるし、試しているうちに2個3個と進む。

あと、いちいち「今日のご飯は山形県産の○○という銘柄です」と説明してくれるのもまた体験を重視しているからだろう。ここで有名なコシヒカリとかあきたこまちとかを出してこないで青天の霹靂系を出してくる。「あまり馴染みない銘柄だけどソレ故にちょっとこだわっているんだな〜」と感じてしまう。でも言われなければご飯の銘柄なんかまずわからないし、「今日の」と付けるとなんか日ごとに変えてるの?こだわりすごい〜みたいな勝手な想像もしてしまう(数種類ストックしていてローテさせているだけだとしても、だ)。そして、まさにこういう心理を読まれていて、だから店員さんに言わせてるのだろうな、と思うのだ。

 


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ハンバーグ2個目の際に箸休めの大根おろしと自家製ポン酢(自家製ってまた!)が出てくる。ハンバーグの脂にちょっとやられかけの中年にはこういうのが嬉しい。嬉しいものを嬉しいタイミングで持ってくる、それが一番刺さるのだ。そしてやっぱり、これは客ひとりひとりの食事ペースを複数の店員がしっかり見ているからこそできる芸当。だからやっぱり「目配せ」が相当教育されているのです。ちなみにご飯はおかわり自由だけど、これもやっぱり見られているのでお椀が空になった人はすぐおかわりを聞かれるのだ。

こういう店は接客が劣化したら途端にダメになるタイプなので、流行りが落ち着いてスッと入れるような店になってしまったら店員さんの質や人数が下がって……の悪循環に陥る可能性が無くもないが、当面は大丈夫だろう。メニューも絞ってるし利益率かなり高そう。若干気になる点も幾つかはあったがトータルではとても良い店だった。何よりまだまだ話題性満点なので自慢できるし。だからハンバーグの良さよりはそのトータルの体験の良さをこの店に関しては褒めたいなと思ったのです。

なんというか、美人にコロがされてる感じだよな〜 まんまと好きになっちゃったみたいな……。